2016.11.8

知れば知るほど飽きない街。面白いものがそこかしこに──林素子さん #三軒茶屋

イメージをはるかに上回る魅力が

 国道246号と首都高速道路が街の真ん中を走る、三軒茶屋。渋谷から急行で5分、東急田園都市線と東急世田谷線が乗り入れ、小田急バス・東急バスなどバス路線も充実する。抜群の交通の便に加え、駅周辺には7つの商店街が集まり、深夜まで賑わう。絶品グルメの店もあれば、洗練されたカフェやおしゃれな雑貨店もある一方で、庶民的な銭湯や闇市の風情が残るレトロな飲み屋街も残っている。三軒茶屋、通称「三茶」は、じつに多彩な表情を持つ街だ。

 三茶在住歴が長いスタイリストの林素子さんによれば、この街は「とにかく便利で、離れがたい魅力がある」そうだ。林さんは、結婚を機に参宮橋へ引っ越したが、2016年秋まで10年以上にわたり三軒茶屋のマンションで暮らしていた。取材はちょうど、その引っ越しの直後。街への未練はまだまだあるみたいで……。

「引っ越して一週間ぐらいは三茶が恋しくて、寂しくなっちゃって」

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photos: Masashi Nagao

 吉祥寺育ちの林さんがひとり暮らしを始めた最初の街は祐天寺。専門学校を卒業し、美容師としての生活をスタートさせた。その後、中目黒にも住んだが、スタイリストを目指して転職。アシスタントに就いたところで、いったん実家の吉祥寺に戻った。そのころ持っていた三軒茶屋のイメージは、「高速道路の街」だったという。

「街の中央に高速道路がどーんとあって、それがすごく嫌いでした。当時は、自分が三軒茶屋に住むことはないだろうな、なんて思っていました」

 ところが終電で帰れない日が続き、三宿の交差点近くに住む友人宅に転がり込むようになると、そのころから三軒茶屋に通い始め、この街の魅力に気付いた。自身の仕事や生活のスタイルにとてもフィットする街だとわかり、三軒茶屋で暮らすことを決めた。

「この仕事をやっているとフットワークは軽いほうがいいんですよね。仕事がやりやすくなるというか。服のリース先は、銀座、青山、表参道あたりが多いんですが、三茶だと、どこの路線にもアクセスしやすい。乗り換えもほとんどないですよね。ロケバスが停めやすいような大きな通りもあり、とにかく便利。お店もたくさんありますしね。忙しくて外食が多いので、夜遅くても、どこかしらに食べに行ける、飲みに行けるという環境もよかった。24時間営業のスーパー、foodium(フーディアム)もよく利用していました」

 当初抱いていた三軒茶屋のイメージは払拭された。

「自分が考えていた以上に面白い街だな、と思うようになったんです。『高速道路の街』をはるかに上回る懐の深さがあった、そんな感じですね」

話してくれた人

林素子 はやしもとこ

美容師を経てスタイリストに転身。アシスタント時代は、渡辺康裕氏に師事した。独立後、フリーランスのスタイリストとして、ELLE ONLINEをはじめ、雑誌、カタログ、広告、ミュージシャンなどのスタイリングで幅広く活動している。

話を聞いてくれた人

佐々木裕子 ささきゆうこ

フリーランスエディター&ライター。主にビジュアル書籍や企業広報誌などを手がける。屋号「アトリエコチ」での編著に『団地リノベ暮らし』、また共著に『スチームパンク東方研究所』シリーズ、『食品サンプルのつくりかた』などがある。

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