2016.11.28

都会と田舎の間、ちょうどいいバランスのとれた街──工藤慎一さん #吉祥寺

仲間と集うパルコ屋上のフットサルコート

 吉祥寺には住環境に必要なあらゆる要素がそろっている、といっても言いすぎではないだろう。吉祥寺はJR中央線快速で新宿まで15分、京王井の頭線急行で渋谷まで16分と都心に出やすく、駅前には深大寺や調布など各地へ向かう路線バスが発着している。

 駅周辺には、パルコ、東急、丸井といった百貨店のほか、大型電機店にスーパー、映画館、劇場とさまざまな施設がある。サンロードやダイヤ街という大きなアーケード商店街だけでなく、中道通り商店会、ハーモニカ横丁、ペニーレーンなど、地元に密着した魅力的な通りや路地がいつもにぎわっている。

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photos: Kei Aotani

 駅の南、ドラマやマンガの舞台としてよく描かれる井の頭公園は、この街のシンボル。動物園や運動場があり、憩いを求める人々を静かに受け入れてくれる。生活も遊びもこの町で完結できるわけだ。あるアンケートで「住みたい街ランキング」1位に5年連続で選ばれたのもうなずける。

「起業家としてのベースは、実業家の父の影響と、少年時代を過ごした吉祥寺ではぐくまれたのかもしれません」と話すのは、2015年6月に弱冠24歳の若さでecbo株式会社を立ち上げた代表取締役CEOの工藤慎一さん。スマートフォン向けのレンタル倉庫サービス「かんたん収納アプリecbo」の開発を手がけ、今は新しいサービスの開発、運用を始めている。

「生まれてから幼少期までは父親が経営する会社の関係で、香港、マカオ、中国の広州を転々としていました」という工藤さん。8歳のころに母親と姉の3人で日本へ戻り、吉祥寺と西荻窪の間の2DKのマンションに越してきた。それから高校を卒業する18歳まで住んでいたそうだ。

「幼なじみも仲のいい友達も皆この街にいるので、何かあると吉祥寺に集まります。引っ越してからも、多いときは月に2、3回、友だちとフットサルをしに戻って来ていましたね」

 吉祥寺パルコの屋上にはフットサルパーク吉祥寺というフットサルコートがある。大学時代、吉祥寺の幼なじみや大学の友人を誘ってフットサルを始めたという。チームを作って対戦するわけではなく、来られる仲間が集まってフットサルを楽しむだけ。忙しい今は遠ざかっているが、友人たちと過ごすそんなゆるやかな時間が好きだという。

「当時は、フットサルのあとはサンロードのシェーキーズや、ちょっと豪勢に行くならしゃぶしゃぶ食べ放題の鍋ぞうなどに行っていました。完全に学生のノリですね(笑)」

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白鳥ボートでにぎわう井の頭公園

 フットサルを始めたのも、小学校~高校とサッカー部だったから。そのころは体力づくりのためによく井の頭公園を走っていたという。

「都会だと、大きな池があって、平坦で走りやすいところってなかなかないんです。それに言葉に表すのは難しいのですが、この公園の池の水面を照らす朝の光や、夜の澄んだ空気感は、なんともいえない気持ちよさがありました」

 工藤さんは2015年、初めてハーフマラソン大会に出場して優勝した。そのときも井の頭公園での記憶がよみがえってきたそうだ。

「自然の大切さを教えてくれたのが井の頭公園。四季の風景や空気感を通じて得た体験は、あきらかに自分の性格に影響を与えていると思います」

話してくれた人

工藤慎一 くどうしんいち 

2015年に24歳でecbo株式会社を設立、代表取締役CEOに就任。身の回りのモノをスマホで預けて管理する「かんたん収納アプリecbo」を開発、運営。現在は、おもに外国人旅行者向けにデリバリー付きの荷物預かりサービスのアプリ「ecbo cloak(エクボクローク)」の運営に注力している。

話を聞いてくれた人

田辺英彦 たなべひでひこ

旅行関係のガイドブック、ムックなどの編集制作を請け負う有限会社クロッシング代表。出版・広告関係の業界誌特派記者を経て、現在も自ら取材、執筆を行う。

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