関東6県の人気順は、東京に神奈川がつづき、その次を千葉と埼玉が争っている、とよく言われる。都道府県魅力度ランキングを見ても、東京と神奈川は全国ベスト5に入っている(ブランド総合研究所調べ)。そんな神奈川のイメージを引き上げているのは横浜や湘南・鎌倉だろう。
では同じ神奈川でも、多摩川をへだてて東京と隣り合っている川崎は? 昭和のころは京浜工業地帯の公害だったり、堀之内の風俗街だったりと、どちらかというとマイナスのイメージがあった川崎も、今は工場夜景が観光スポットになったり、ラゾーナ川崎プラザやラ チッタデッラといった大きな複合商業施設が人を集めたりと、そのブランド価値は上昇中だ。
「単純だけれど、生まれ育った街だから愛着がある。とくに多摩川の流域は自然豊かで、健康的な生活を送るのにぴったりの環境です。健康志向が強いのは、ここで育ったせいかもしれません」
川崎市幸区で生まれ育った治療家の福岡壮さんはそう語る。川崎市とひと口に言っても、東の川崎区から西の麻生区まで、多摩川に沿って7つの区が連なり、バラエティーに富んでいる。幸区小向町にあった福岡さんの実家は、川崎駅西口から歩いて20分ほどのところだった。
「祖父が川崎競馬の厩舎で調教師をしていた関係で、その近くに自宅がありました。母が働いていたので、子どものころは祖父母の家でよく遊んでいました。競走馬に触れたこともあるし、飼い葉(干し草などの餌)をあげる手伝いもしましたね」
福岡さんの幼少期の思い出だ。川崎駅の東側には、今も川崎競馬場と川崎競輪場がある。昔はギャンブルの街というと良いイメージではなかったが、テレビCMなどのイメージアップ効果もあってか、カップル客や女性ファンが増えているようだ。