2017.2.17

INTERVIEW

自然と文化と仕事。すべてを満たしてくれる心地よい街──吉田美帆さん #九品仏エリア

 となり駅の自由が丘から徒歩10分ほどでたどり着く、世田谷区奥沢の九品仏駅。周辺には静かで落ち着いた住宅街が広がっている。環八通りまでつづく商店街には昔ながらの店が多く、いずれもこぢんまりとした雰囲気だ。

「このローカルなかんじがなんともいえず好きなんです」と話すのは、九品仏に住んで9年目を迎える吉田美帆さん。

 「自由が丘というメジャーな街と、大学もあり商店街も充実している尾山台に挟まれた、ひっそりとした街です。九品仏という漢字を読めない方も意外に多いのではないでしょうか?」

 たしかに……。くしなぶつ? くほんふつ?

 「くほんぶつです(笑)。駅舎もホームも小さいですし、わざわざ九品仏に来るような人は多くありません。でも、そのマイナーなかんじが、住む人間にとっては住みやすさにつながっているんです」と吉田さん。

photos: Masashi Nagao

  駅名の由来になっているのは、駅から100mほどのところにある九品仏浄真寺だ(正式名は九品山唯在念仏院 淨眞寺)。寺院には上品、中品、下品各3体計9体の阿弥陀如来像がまつられている。東京都の天然記念物に指定された大イチョウもあり、紅葉の時期になると、九品仏周辺は多くの人で賑わうらしい。

 「趣のある日本庭園と仏閣があり、心を落ち着かせたいときはここに来ます」

  吉田さんは、九品仏駅から徒歩1分の場所にある2LDKのマンションでふたり暮らしをしている。住居は、設計事務所やマンションディベロッパーなどを経て、2011年に独立した吉田さんの事務所も兼ねている。肩書きはグリーンライフプロデューサー&一級建築士。「自然と調和した暮らし」というコンセプトのもと、インテリアやガーデンデザイン、企業とコラボレーションしたイベント、セミナーを手がけている。

  また、現在はより植物について深く学ぶため、プランツハンターである大学教授に師事しているそうだ。

 「中国最古の本草学の書に『神農本草経』というものがありますが、薬用植物のランクに応じて上品、中品、下品とあり、これはもう浄真寺とのご縁を感じずにはいられません(笑)」

浄真寺の総門

 自由が丘が好きすぎて……

  世田谷区で生まれ、その後両親の仕事の都合で埼玉県へ引っ越した吉田さんは、高校時代から時々、自由が丘へ遊びに来ていた。以来、自由が丘は「大きな存在感のある街」として、吉田さんの人生に寄り添っているという。

「高校生の頃から、ここに住みたい、この街にいたい、と思っていました。ほかにも好きな街はたくさんありますが、理屈抜きにそこにいるだけで癒される街は、自由が丘なんです」

 大学も「自由が丘に近いから」という理由で、尾山台にある大学の建築学科を選んだ。ただ在学中はひとり暮らしの許可がおりず、埼玉の実家から通学。卒業後は目黒にある設計事務所に就職し、勤め先に近いからと学芸大学でひとり暮らしを始めた。当時は激務で、家には寝に帰るだけの日々。マンションディベロッパーに転職し、ようやく念願の自由が丘エリアに住まいを移した。

話してくれた人

吉田美帆 よしだみほ

グリーンライフプロデューサー&一級建築士。武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業後、設計事務所で小学校や保育園等の設計、マンションディベロッパーで企画等を経て、「SUNIHA UNIHA(サニハユニハ)」を設立。インテリアやガーデンデザインをメインに、子どもたちの感性や個性を育む花を通した自然教育の活動を行う。2016年フランス国際映像コンペアジア地区代表ファイナリスト。

公式サイト: suniha-uniha.com

話を聞いてくれた人

佐々木裕子 ささきゆうこ

フリーランスエディター&ライター。主にビジュアル書籍や企業広報誌などを手がける。屋号「アトリエコチ」での編著に『団地リノベ暮らし』、また共著に『スチームパンク東方研究所』シリーズ、『食品サンプルのつくりかた』などがある。

Room Album

九品仏のルームアルバム

このエントリーをはてなブックマークに追加