2017.2.17

自然と文化と仕事。すべてを満たしてくれる心地よい街──吉田美帆さん #九品仏

  仕事柄、東京の不動産にも詳しい吉田さんを、長年惹きつけている自由が丘の魅力とは?

 「まず、街並みが好きですね。街づくりに特徴があるんです。自由が丘には、もともと大地主さんがふたりいらして、町全体のランドスケープや街並みをていねいに考慮してきた歴史があります。土地に空きが出れば買い、チェーン店の乱立を阻止するなど、高い自治意識によって守られてきたのです。そういう意味で、自由が丘は品のよい街の個性が出ていると思います。 自由が丘という名前にも歴史があるんですよ。戦時中は“自由”という名前が問題視され、『自由が丘から来た』というだけで中学生が将校に殴られるということもあったそうです。それでも、比較的リベラルな精神をもった海軍将校が奥沢あたりに住んでいて、それを守ってきたそうで。自由という気高い精神を先人たちが大切にしてきた街。そんなところにも惹かれます」

  また、「散歩をするのが楽しい街」というのも自由が丘の大きな魅力のひとつだという。

 「幹線道路がないので車通りも少なく、自動車と歩行者のエリアが分かれていて歩きやすいんです。道に多様性もあります。並木道も、遊歩道も、小道もあるので、道の表情に変化があって飽きません。いろいろなお店が並んでいるので、ぶらぶらと散歩しながらのウィンドウショッピングも楽しいですね」

  そのうえ、同じ自由が丘内でも、目黒区側と世田谷区側では雰囲気が少し変わるらしい。

 「目黒区側は、いわば表の顔。自由が丘のなかでも華やかで、高級な雰囲気があるエリアです。一方、私が長年住んでいる世田谷区側の奥沢エリアは、もう少し静かでローカルな雰囲気。昔ながらの住民が多く、落ち着いたかんじです。自由が丘というと、スイーツと雑貨の街、みたいに思われがちですが、意外とディープスポットや渋いエリアもあり、奥行きがありますよ」

飾らない雰囲気の九品仏商店街

 プロの目線で選ぶ物件探し

  吉田さんは九品仏に住む前に、奥沢エリア内で2度引っ越しの経験がある。住まいのプロフェッショナルとして、自身の物件選びで外せないポイントとは?

 「職業柄、細かくいろいろとチェックするので、100点満点の物件を見つけるのは不可能です(笑)。家賃とのバランス、使いやすい間取りかどうか、収納量、駅からの近さ、日当たりの良さ以外にも、いままでの引っ越しでは、だいたい15個ぐらいの条件を出していました。譲れないポイントは多いんです」

  物件を探すときは、できるかぎり希望条件を細かく伝えたほうがいい、と吉田さんは教えてくれる。

 「条件がわからないという人は、こういうのは嫌だ、というものの反対を伝えるといいと思います。閉塞感のある部屋が嫌だったら、眺望の良い部屋、というふうに」

  さらに、住まい探しで外せないのは「街選び」だという。

 「街は、その人の暮らしや生き方にすごく左右してくるものだと思うんです。私自身、九品仏に住んでみて本当に良かったなと思っています。九品仏を含め、奥沢周辺にはだいたい似通った雰囲気があり、自由が丘には10分ぐらいで歩いて行けますが、華やかすぎず、気取らず、フラットなかんじがあります。私にとっては、等身大の街ですね」

話してくれた人

吉田美帆 よしだみほ

グリーンライフプロデューサー&一級建築士。武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業後、設計事務所で小学校や保育園等の設計、マンションディベロッパーで企画等を経て、「SUNIHA UNIHA(サニハユニハ)」を設立。インテリアやガーデンデザインをメインに、子どもたちの感性や個性を育む花を通した自然教育の活動を行う。2016年フランス国際映像コンペアジア地区代表ファイナリスト。

公式サイト: suniha-uniha.com

話を聞いてくれた人

佐々木裕子 ささきゆうこ

フリーランスエディター&ライター。主にビジュアル書籍や企業広報誌などを手がける。屋号「アトリエコチ」での編著に『団地リノベ暮らし』、また共著に『スチームパンク東方研究所』シリーズ、『食品サンプルのつくりかた』などがある。